カビ・虫食い

●欧米のデザインには鮮やかな色彩。なぜか国産と違う?
●シートベルトが衣服の生地を傷めることがあります
●タイトなデザインジャケットの裂けにご注意
●大気ガス汚染で保管中に帯状の変色
●濃色と淡色の組み合わせは色泣きしやすい
●本物のドライなら口紅のついた紙でもきれいに洗えます
●着用中の動きでスレたりホツレたり、衣類のダメージ
●接着剤で付けた毛羽プリントには寿命がある
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 欧米のデザインには鮮やかな色彩。なぜか国産と違う?
「イタリアやフランスなどのファッションは、鮮やかな色なのに、なぜか、日本の製品には鮮明な色が少ないみたい」と感じたことはありませんか? それには、わけがあるのです。

■国内の製品はJIS規格によって管理されています
国産品には、日本工業規格によって定められた、染色の耐久性に関する試験があります。日本では、この試験のかなり高いレベルで商品化する傾向にあり、耐久性の低い鮮やかな色の製品は、少なくなりがちです。

■消費者の感覚に違いがあります
繊維には「本来の色」があり、「鮮やかな色」を出すためには、本来の色を完全に隠してしまわなければなりません。そうすると、どうしても定着していない浮いた染料に頼ることになります。欧米では、その人のキャリアやライフスタイルによって、自然に色が落ちて変化しても気にしない人が多いようですが、日本人は一般に、新品感覚へのこだわりがあるようです。
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 シートベルトが衣服の生地を傷めることがあります
「車に乗るときには必ずシートベルトを締める!」ことは大切ですが、生地を傷める場合がありますからご注意ください。

■肩から脇にかけてのスレやサイドポケットのスレ
繊維製品は擦れると、毛羽だったり、白っぽくなったり、テカリが出たり、擦り切れたりします。特にシートベルトは硬い繊維でできていますのでヤスリのような効果になります。
■スレやすい素材は車内では脱いでください
絹、毛(ウール、カシミヤ等)、レーヨン、麻、スェード、毛皮などのスレに弱い繊維製品は、必ず脱いでください。寒い季節はとかく厚着になりますが、その分シートベルトに負担がかかりがち。

■クリーニングすると目立つようになる
倒れていたり、切断された毛羽がクリーニングによって毛羽立ったり、脱落して目立ちやすくなりますので、十分にご注意ください。
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 タイトなデザインジャケットの裂けにご注意
体を締め付けるようなタイトなデザインのジャケットを着たときは、特に腕の上げ下げにご注意ください。

■ナイロンを含む製品は糸滑りに注意

ナイロン繊維は、滑りやすい性質がありますから、袖付けの部分などに負担がかかると縫い代の部分の糸が滑って、裂けたような状態になります。特に袖付けの方向が、下に向かって鋭角的になっているものは時々点検してください。着た時にゆっくりと腕を上げていって、真横に腕を上げる前に肩が大きく浮くようだと、かなり動きに無理のある状態といえます。

■異素材の交織は裂けやすい
ヨコ糸がポリエステル、タテ糸がアセテートといった異素材の交織製品の場合、タテヨコの強度に極端な差が出て、弱い方の糸が切れて裂けやすくなります。タイトなデザインの服を選ぶ場合注意したいポイントです。
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 大気ガス汚染で保管中に帯状の変色
夏本番、都市部では光化学スモッグの季節です。大切な衣類が、保管中に大気汚染の影響で、色あせしてしまうことがあります。

■NOxガスによる変色

大気汚染の原因であるNOxガス(酸化窒素ガス)は、綿、ナイロン、アセテート製品に使われている染料(反応、分散)と反応して変色を起こしてしまう場合があります。変色の状態は、たたんであるものは空気に触れるたたみ端、ハンガーに吊るしたものは扉側の袖などに現れるのが特徴です。

■換気と虫干しを
長期保管する場合は、年に1〜2回虫干しの要領で風に通しましょう。酸化窒素ガスは、ガスコンロ、石油ストーブなどの燃焼ガスにも含まれています。
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 濃色と淡色の組み合わせは色泣きしやすい
特に綿製品で、白地など淡色系の生地に鮮やかな青や赤などの色でプリントされたり、生地の組み合わせがあるものは、淡色の生地に濃色の色がシミだしてくることがあります。

■染色工程が不良の場合

汗や洗濯の際の水などに濡れた場合、染料が滲み出してくることがあります。これは、染色工程で十分に生地に定着させる処理、定着していない染料を洗い落とす処理をしなければならないのですが、これが不十分の場合に色泣きが起こります。

■汗と日光の複合作用による場合
以前は洗っても色落ちしなかったのに、あるとき急に色落ちしてしまうことがあります。これは、紫外線や汗成分の影響で、染料が分解してしまうことが原因です。
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 本物のドライなら口紅のついた紙でもきれいに洗えます
水に浸すとグチャグチャになって、形も風合いも変化してしまうティッシュペーパー。それも繊維製品です。でも、ドライクリーニングで洗えば、形も風合いも変わりません。

■自然の繊維はほとんどが水分を吸収します
綿や麻、絹や羊毛などの天然繊維だけでなく、植物繊維を原料にしているレーヨンやアセテートなどの化学繊維も、湿気や汗を吸収するように、水に浸すと水分を吸収してふやけて、形や風合いを変えてしまうという性質があります。

■デザインや風合いのためのドライクリーニング
ドライクリーニングは、19世紀中頃、フランス貴族の衣裳のために考えられたという言い伝えがあります。ドライクリーニングは、水ではない溶剤というもので洗うので、繊維がふやけることがなく、デザインや風合いを大切に仕上げることができるのです。まさに貴族のための贅沢な洗い方なのです。
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 着用中の動きでスレたりホツレたり、衣類のダメージ
衣類は着用中の動きで、縫い合わせた部分がホツレてきたり、日常生活の中で裾やヒジ、脇などがスレたりしてきます。

■タイトな衣類や麻製品はホツレに注意
腕の上げ下ろしや背中などがキュウクツなデザインの衣類は、袖付けや両脇部分の縫い目に負担がかかります。また、麻製品は繊維が滑りやすいので、縫い目の糸が開いてしまうことがあります。

■ボタン周りを点検しましょう
ボタン付けの糸はゆるんでいませんか?ボタンホールの糸はホツレていませんか?クリーニングの工程で、ホツレが耐えられなくなってしまうことがあります。

■絹やテンセルはスレやすい
ヒジや脇の下、袖口、ポケットの周りなど毛羽立って白っぽくなっていないか注意しましょう。また、スレて繊維屑となったものは、クリーニングで落ちてしまいます。
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 接着剤で付けた毛羽プリントには寿命がある
ベルベットのような肌触りのプリント柄製品は、接着剤で毛羽を生地の表面に貼り付けたフロック加工といわれるものです。

■フロック加工の接着剤は徐々に弱くなってきます

毛羽を貼り付けている接着剤は、着用中のスレや、クリーニングの繰り返しなどによって、徐々に接着樹脂の接着力が弱くなってきます。織り込んで毛羽が作られるベルベットやコーデュロイ、別珍などと違って、根無し草のような状態ですから、このような加工製品には、寿命があるのもしかたのないことです。その寿命は、元の加工、保管・着用などの状態によって変わってきます。いったん取れた毛羽を再度つけることはできません。
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