カビ・虫食い

●ブラシがけは意外に効果的
●金銀のラメは一般の繊維とは違います
●静電気と帯電防止
●生地は消耗しています
●事故は原因が重なった時に起こります
●ポリウレタン製品の寿命は3年がメドです
●はっ水加工と防水加工はどこが違う
●編み込まれたモール糸が抜けてしまうデザイン
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 ブラシがけは意外に効果的
外出から戻ったら、ブラシがけして汚れを落としておいて下さい。チリやホコリなどブラシがけで簡単に落ちるものは、落としておいた方が衣服の寿命が伸びるのです。

■ブラシがけは気休めではなく実効のあるものです
外出から戻ってのブラシがけは、気持ちの問題だと思ってはいませんか。衣服に付いたフケやホコリは長時間放置しておくと、シミや汚れ、クスミの原因になります。毎日のブラシがけを習慣づけておけば、衣服の寿命が伸びます。

■ブラシの品質にも気を配りましょう
よいブラシは、生地を傷めず、静電気を起こさないもの、また、目に見えないホコリも取れるものを選びましょう。この意味から、毛足の長いブタの毛のブラシが適当です。よいブラシを1本持つと、日々の手入れも楽しいものになるでしょう。
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 金銀のラメは一般の繊維とは違います
キラキラと輝くラメ糸は、金属(アルミニウム)箔をフィルムではさんだものですから、一般の繊維とはその性質が大変違っています。

■サビ(酸化)て光沢が消えてしまいます
汗や湿気、防虫剤の影響によって酸化したり、また、酸性雨や汚染された大気などによっても、一定の時間によって光沢が消えてしまいます。

■シミ抜きができない
金属は薬品の影響を受けやすいことから、複雑な薬品を使用するシミ抜きができません。

■熱の影響を敏感に受ける
金属は熱の影響を受けやすい性質を持っていますから、アイロンはもちろん、スチームなどによる仕上げでも影響を受けることがあります。
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 静電気と帯電防止
冬など空気の乾燥している時期には、パチパチと衣服が放電して不愉快な思いをしたり、衣服が身体にまとわりついたりします。

■水分の少ない繊維ほど静電気が起きやすい
静電気は、仮に摩擦などによって発生しても、水分など電気を通しやすい性質のものによって、逃げていきます。しかし、ナイロンやポリエステルのような合成繊維は、吸湿性が低く静電気が起きやすいのです。

■帯電防止は湿気を保持する効果で静電気を逃がす
帯電防止剤は、洗剤などと同じ界面活性剤というものを主成分としています。この作用は、それ自体が電気を通しやすいのではなく、空気中の水分を吸収して電気の通り道をつくるというものです。このことから、異常乾燥時などにはあまり効果がありません。

■静電気は汚れを引き付けます
静電気は空気中チリやホコリを引き付け、汚れの原因にもなります。
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 生地は消耗しています
当然のことながら、衣料に生命はありません。病気やケガをしても回復力のある生き物と違って、衣料は傷つき消耗して悪くなる一方です。汚しすぎたり、いためつけたものは元どおりにはなりません。

■シミや汚れが定着したら
シミや汚れも長時間放置したり、高熱をかけることなどによって、染めたように繊維に染着してしまうことがあります。このような状態のものを落とそうとすれば、生地に無理がかかり、傷めてしまうことになるのです。

■カビなどは繊維を侵します
カビは植物のように生地の中に根(菌糸)をはります。この根は、繊維に食い込み分解してしまいます。

■クリーニングは長持ちのもと
あまり汚れがひどくならないうちに、クリーニングに出していただければ、衣料に無理がかからず奇麗に仕上がります。
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 事故は原因が重なった時に起こります
■潜在原因と誘発原因
クリーニングに限らず、多くの事故は原因が重なった時に起こります。例えば禁止されたところに花火を持ち込むという潜在原因、口火に火をつけるという誘発原因によって、火事という結果が発生し事故となります。

■クリーニングが誘発原因になることもある
ドライクリーニングしなければ風合変化するシルクのブラウスに、サイダーをこぼしたとします。受付時の見た目にはわかりません。このことを知らされずにドライクリーニングし、アイロン仕上げするとその部分の糖分がが熱によって変化し、黄褐色のシミとなって現れます。このシミは落とすことができません。

■潜在原因は素材や保管方にもある
前述の場合は、通常のドライで落とせない水溶性の糖分が潜在原因ですが、この他、ドライで色落ちする顔料染料プリントなど素材の設計上の原因、保管中の塩素ガスの影響などが潜在原因となることがあります。
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 ポリウレタン製品の寿命は3年がメドです
ウインドブレーカーやコートなどで、生地の表面を樹脂で覆ってある製品があります。表示タックを見ると、「表地:ポリウレタン○○%」などと記されています。

■生地表面のコーティングや伸縮素材に使われる
皮革の感じやテクノっぽいイメージを演出する素材として、生地の表面にポリウレタン樹脂をコーティングした素材が使われることがあります。このポリウレタン樹脂は、ボディコンなどの伸び縮みする生地(ストレッチ)にもゴム素材として、またより身近なものとしては、紳士ソックスのゴムとして多く使われています。

■ポリウレタン樹脂は時とともに弱くなります
紳士ソックスなどは、2年目くらいはいていると、ゴムが緩くなり、しまいにはゴムが切れて飛び出してきたりします。これは、ポリウレタン樹脂の「加水分解」という性質によるもので、同じように、一見ファッショナブルなウインドブレーカーやコートでも、空気中の水分によって次第に変質して購入から3年程度で表面にヒビや剥離が起きてきます。
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 はっ水加工と防水加工はどこが違う
雨の季節です。衣料と雨といえば、レインコートに代表される防水加工と雨に濡れても弾いてしまう撥(はっ)水加工が思い浮かびます。

■不通気性の防水加工
一般に防水加工といわれているものは、雨合羽のように生地の表面にゴムや合成樹脂などを塗ったもので、水も空気も通さないものです。防水性は高いのですが、ムレやすく風合いに難点があります。

■水を弾き通気性もあるはっ水加工
はっ水加工は、知っておくととても有効な加工です。加工剤の代表は、フッ素樹脂で、焦げ付かないフライパンでおなじみのテフロン加工と同様のフッ素樹脂等による加工です。ミクロの樹脂が繊維1本1本の表面に付着するので、通気性もあり、素材そのものの風合いを変えることなく、水や油などを弾き、汚れも防ぎます。クリーニングでも、この加工ができますので、スーツやコートなどには、是非この加工をしておきたいものです。
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 編み込まれたモール糸が抜けてしまうデザイン
ジャケットやセーターで、生地とはイメージの違うモール糸(花糸)を編み込んだものがあります。不良製品では、このモール糸が飛び出してしまうことがあります。

■モール糸は一方向だけに動きやすい
モール糸は、常に一定の方向にしか動かないという性質があります。着用して体を動かしたり、クリーニングを繰り返すうちに、モール糸が徐々に移動し、糸の飛び出しを生じることがあります。

■接着樹脂などでしっかりと固定する
多少固い風合いになりますが、詰まった織り目の製品を選ぶ。接着樹脂でしっかりと動かないように固定された製品でなければなりません。しかし、ある程度対策を講じた製品であっても、数年の着用で接着が弱くなり、いずれはモール糸が飛び出してしまいます。
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