カビ・虫食い

●純白の繊維素材はありません
●伸び縮みするストレッチ衣料は変形しやすい
●表示ラベルに製造責任者の連絡先を表示
●羽毛衣料などの中綿の接着樹脂が溶けてしまう
●擦れた繊維屑は洗うと落ちてしまう
●ウールなどの毛製品は霧吹きでシワが伸びます
●絹の繊維は摩擦すると白っぽく毛羽立ちます
●カシミヤはヒマラヤ山系原産の山羊のわた毛
■その1へ
■その3へ
一覧へ
 純白の繊維素材はありません
■蛍光増白剤という白い染料
ウ―ルやシルクなどの夕ンパク質系の繊維は、本来黄色みを帯びています。また、ポリエステルなどの合成繊維であっても、染色される前は半透明で黄色みを帯びて見えます。綿や麻などの植物繊維も「生成り」という言葉の通りです。これらの素材を鮮やかな、輝くばかりの白にするためには、白く見えるように染めなければなりません。この際最も多く使用されるものが蛍光染料です。

■純白は自然に黄色みを帯びた状態に戻ります
蛍光染料は、困つたことに直射日光に弱く黄ばんでしまうという性質を持つています。日光を反射する白は、夏の日差しの強い季節によく用いられますから、どうしても避けられない運命です。ただし、水洗いの場合は洗濯行程で蛍光染料を加えることができますが、ドライクリーニングではほとんど不可能で、この純白の寿命は短いものと心得ておいてください。
一覧へ
 伸び縮みするストレッチ衣料は変形しやすい
最近大流行の伸び縮みする生地でつくられたストレッチ衣料は、ポリウレタンゴムという樹脂糸を編み込んだり、織り込んだりしてつくられています。

■ゴム糸が飛び出してしまうものがあります
編み物でもカットソーといって、縫製してあるものが多くあります。このような場合、ゴム糸が縫い針によって傷つけられ、着用中の運動や、クリーニングによってゴム糸が切れて縫製部分にそって飛び出してしまうことがあります。

■膝が抜けたり、表面に凹凸ができることも
一定期間着用していると、ポリウレタンゴムが弱くなって、膝や肘などの負担のかかる部分が伸びきってしまいます。また、ゴム糸の引っ張り強度に差ができると生地の表面に凸凹が発生することになります。
一覧へ
 表示ラベルに製造責任者の連絡先を表示
昨年の10月1日以降に製造された繊維製品には、品質表示責任者の連絡先を表示しなければならなくなりました。

■ファッションメーカーには品質に関する責任
従来の法律では、製造責任者の明示に代えて、消費者には理解できない記号や番号の表示でもよいことになっていました。しかし、染色や素材の不良など、製造者の責任を明確にするために、縫いつけラベルに責任社名、住所または電話番号を表示しなければならなくなりました。

■トラブルの原因の4割はメーカー責任
ある都内の有名デパートの調査では、衣料品のトラブルの41%は、製造者に責任があると発表されています。これからは、メーカーに直接問い合わせることができるようになりました。
一覧へ
 羽毛衣料などの中綿の接着樹脂が溶けてしまう
羽毛などの中綿を入れてあるブルゾンや防寒コート類の場合で、デザイン上、表地と中綿を接着樹脂で一体化してあるものがあります。

■ドライで溶けてしまう不適切な接着剤
多くの製品は、ドライクリーニングで洗うことを配慮して溶けない樹脂接着剤を使用していますが、まれにドライの表示なのに、溶剤で溶けてしまう不適切な接着剤を使用しているものがあります。

■表面にシミのように浮き出る
接着樹脂が溶け出すと、斑点のように生地表面にシミが発生して、デザインが台無しになってしまいます。また、中綿に染み込むと中綿を接着して、ペッタンコになったり、硬くなったりします。
一覧へ
 擦れた繊維屑は洗うと落ちてしまう
衣類の生地は、着用中に常に摩擦され、消耗しています。擦り切れた繊維がクリーニングによって毛羽立ったり、汚れといっしょに落ちてしまうことがあります。

■体の関節部分と裾、襟、袖が特に擦れます
衣類を着用して活動すると、必ず擦れる部分があり、繊維が消耗していきます。特にヒジやワキ・ヒザなどの関節部分、そして、衣類の端に当たる襟周り、袖口・裾・パンツの場合内股、フクラハギも意外に擦れやすい部分です。また、ネクタイのノットや上着と接触する部分。

■消耗した繊維は毛羽立ちや穴明きの原因になります
繊維が擦れると毛羽立って、光を乱反射するようになり、濃色の衣類では白化の原因になります(綿、麻、テンセル、絹製品に注意)。また擦りきれた繊維屑は、クリーニングによってゴミや汚れといっしょに落ちてしまい、穴明きの原因になってしまうことがあります。
一覧へ
 ウールなどの毛製品は霧吹きでシワが伸びます
ウールなどの毛製品や麻製品は、霧吹きで湿気を含ませるだけで、着ジワやタタミジワが伸びます。

■毛製品には自然な弾性による回復力があります
ウールの繊維には、毛髄と呼ばれる芯があって、水分を含むと伸びる性質があります。数時間後に出かけなくてはならないのに、出してみたらタタミジワが付いてしまっていて困った。そんな時でも通気性の良いところでハンガーに吊るしたまま霧を吹いておくと、出かける頃にはすっかりシワが伸びています。

■着用したものにアイロンは禁物
一度でも着用した衣類には、目には見えなくても色々な種類の汚れがついていますので、再度着るときにアイロンをかけると、熱と圧力で汚れが染み付いてしまいます。外から帰ったら軽くブラッシングして、霧吹きで湿気を与え風乾してからしまいましょう。
一覧へ
 絹の繊維は摩擦すると白っぽく毛羽立ちます
絹糸はとても細い繊維が集まってできているもので、擦れるとそれがバラバラになってしまい白っぽく毛羽立ちます。

■絹製品は「おしとやか」に着るものです
絹の糸は、蚕という昆虫の幼虫が吐き出した糸(生糸)を洗って繊維を包んでいた糊状の成分を落とし(精錬)、2本の裸の糸を取り出して紡いで作ったものです。古来から繊維の宝石として珍重されてきました。現在では低価格の外国産のものも多く、誰でも気楽に購入できるようになりましたが、そのデリケートさに変わりはありません。

■洗い出された裸の繊維だからデリケート
絹の繊維は、無数の微細な繊維の集合体でできています。特に湿気を吸った状態で摩擦しますと、この微細な繊維が分裂して毛羽立ちます(分繊化)。絹製品を着ているときは、ヒジや裾などへの配慮、バッグ類やシートベルトなど摩擦の原因になるものへの注意が必要です。
一覧へ
 カシミヤはヒマラヤ山系原産の山羊のわた毛
カシミヤといえば、10年くらい以前まではコートで1着数十万円もする高級素材でした。今では、流通ルートの簡素化によって比較的身近な製品になりました。

■柔らかなわた毛だけをすき取る
カシミヤ山羊は体全体が硬い毛で覆われていますが、冬の間はその下に柔らかなわた毛(柔毛)が生えて体を温めます。春になるとこのわた毛が抜けるので、胸の部分の特に細く柔らかい毛だけをクシですいて集めます。

■細く柔らかいのでスレに注意しましょう
体を守る硬い毛と違い、保温のための毛ですから、とても柔らかい性質を持っています。羊毛などに比べてスリ切れやすいので、袖口やヒジなどを時々確認しましょう。また、ショルダーバッグや車のシートベルトなどで傷つくことがあります。また、水分を吸収して縮みやすいので雨や雪は避けるように注意しましょう。
一覧へ
これらのレポートに関する著作権は品質情報研究所/住連木まさし氏に帰属しており、転載は禁止いたします
インターネットのホームページ、電子出版物についても同様にお願いいたします
(C)1996-2002 Textile Maintenance Association,Japan