サマージャケットの破れ
実体顕微鏡て見る穴あき状況苦情の穴の部位を実体顕微鏡で観察したところ 、ヨコ糸のグレーの色はほとんど消失し、タテ糸の黒糸は部分的に茶色味を帯ぴ て変色、繊維先端は溶解変形し、白糸も部分的に溶解しています。また裏地も溶 解と変色が散在しており、変色部分は著しく生地が脆化しています。
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左の円: 溶解したように固まった跡がみられる繊維先端
右の円: 黒糸(タテ糸)は部分的に茶色味を帯びた変色がみられる
溶解及び茶色に変色している裏地部分
組成表示 表:レーヨン50%、綿20%、ナイロン16%、麻14% 裏:キュプラ100%
絵表示
発生原因 着用中に酸液が付着?
1. 表地の素材がレーヨン(ヨコ糸と推定)、ナイロン(タテの白糸と推定)、 綿と麻(タテの黒糸混紡糸と推定)でいずれも溶解している
2. 裏地のキュプラタフタも溶解及ぴ荼色に変色している
3. 穴の形状がだ円形である
4. 表地の穴キズが前身頃の上半身にある
5. 穴が隣接したパーツにも影響していること及び穴周辺は脆化していない
6. 実体顕微鏡では繊維先端に溶解したような跡がみられる
等を総合して原因を推定しますと、着用申に化学繊維を溶解する無機酸のような酸液が付着し、生地を溶解、変色していた物がクリーニング・タンブル乾燥中に穴あき、ヨコ糸のレーヨンの脱落、組織崩れとなったものと推定します。
なお、酸液の付着と考えましたのは、裏地の変色が脱色でないこと(塩素漂白 剤が付着した場合は脱色)、溶解しているレーヨン、ナイロンは特に硫酸等の無機酸で容易に溶解すること、およぴ綿、麻はレーヨンより無機酸濃度が高いことなどからです。 身の周りにある無機酸としては、車のバッテリー液や中性のトイレ用洗浄剤のなかにも含まれるものがあります。また、彫金の工程中希硫酸(無機酸のひとつ )を扱うこともあるようです。ただし、このトラブルについて無機酸の種類、付着した時期、場所等は特定できません。

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