ローラー捺染で続出したトラブル
綿起毛調織物地に紺一色に連続柄が捺染された生地使いの男性用長袖シャツです。クリーニング後、後ろ身頃右脇下に濃紺の汚れが発覚しました。
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写真左: 縫い目線を堺に生じた汚れ。左袖には線が 、右袖には白いシミ状のものが点在している。
写真右: 左袖や前身頃裾に一本線が・・・
組成表示 綿100%
絵表示
付記用語:洗剤は必ず中性洗剤を使用してください。日陰干しの自然乾燥をして下さい。タンブラー乾燥はさけて下さい。洗濯の際、多少縮みます。この製品 はプリント加工されているため、クリーニングの際は必ず石油系ドライクリーニ ングにして下さい。他のドライクリーニングをするとプリントがとれてしまいま す。
発生原因 捺染のりの不均等に問題
問題の濃紺の汚れは後ろ身頃のみで、脇縫い目線を境に汚れが前身頃に渡っていません。「この製品はプリント加工されているため」と付記してあることや、シミ部分 の裏面が特に著しく染料の跡が認められず、捺染のりが使用されていると思われること等を考え合わせると、原因はローラー捺染の「ドクター踊り」と思われます。
ローラー捺染とは、絵柄の型の彫られたローラーに捺染のりをのせ、まわしながら生地に染着させる捺染法の一種です。
小さな柄や連続柄を捺染するのに適し、量産性があり、着実な捺染性が得られます。
ローラー捺染で染料の調整をする装置がドクターです。ドクターは、適量な捺染のりが生地に染着するように、余分な捺染のりをそぎとる働きをします。たとえば版画でも、絵の具をつけすぎると絵柄がにじんで広 がってしまうことがありますね。ローラー捺染も同じで、ドクターの刃先にゴミがたまったり、破損していたりしてドクターがうまく働かないと、捺染のりの量が不均等になることがあります 。そして、ドクター踊りと呼ばれる、部分的な汚れを生じることになります。
また、この綿シャツには前身頃裾、肩ヨーク、右袖及びカフス部分に一本線が点在しています。いずれもパーツ単位で発生しており、これらもドクタ一不良により生じたトラブルと思われます。右袖に白いシミが点在していますが、これはアバタと呼ばれるもので、染料がのりによく溶けていないために生じる現象です。

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