スラックスの折り目破れ

イメージ クリーニング後、スラックスの前部折り目に、ひざから裾に向かってまっすぐ 約5cmほどの破れが生じていました。クリーニング前に数回着用したもので、 クリーニング店の受付では、折り目が消えてシワになった状態では、破れの有無ははっきりしませんでした。
破れ部分を拡大鏡で観察すると、折り目に沿ってタテ糸と直角にヨコ糸のみが切れ、その先端はささくれ立っています。スラックスの裏側の傷口周辺は、表側と表面が多少違う以外は、風合い、外観に変化はありません。
組成表示 ウール100%(トロピ力ル織物)
発生原因 素材がサマーウールの平織り組織生地で、折り目に沿ってヨコ糸が切れているので、引っかけ、カギ裂き、すり切れ、刃物での裁断やアイロンの焦げ、薬品による溶解のいずれとも考えられません。状態から原因を分析・整理してみましよう。
1. 同じ毛であっても、タテ糸は羊毛のウール、ヨコ糸はモヘヤウールと繊維のタイプが異なっている
2. 破れはヨコ糸のみなので、モヘヤウールのみが切れたと推定できる
3. アイロンプレス効果が最もシャープにでているひざ下部分が破れていた
4. 文献によると、モヘヤ(アンゴラ山羊)毛は、周辺のキューテイクルが硬く 、シャリ味があるので、夏用衣料によく用いられているが、繊維の強さを維持する毛髄がないので、物理的強さは十分でないとの記述がある
以上から、この破れはクリーニング店で洗浄したスラックスにシャープなクリーズラインをつけたことが逆効果となったものといえそうです。

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